FAXDMと法律
FAXDMに関して法律的に問題がないか懸念している方は少なくないようです。こちらでは、FAXDMと法律の関わりについてお話しします。
目次[非表示]
1.FAXDMと特定商取引法
FAXDMに直接関わる法律として、特定商取引法があげられます。以下では、この特定商取引法の概要と、2016年に改正され、2017年から施行されている内容についてお話しします。
特定商取引法とは
特定商取引法とは、事業者と消費者の間でトラブルになりやすい、いくつかの商取引において悪質な営業行為から消費者守るために設けられている法律です。正式には「特定商取引に関する法律」と呼ばれます。「特商法」という略称も一般的です。
上述したトラブルが起きやすい取引は「特定商取引」と定義されており、以下の7形態が該当します。
・訪問販売
・通信販売
・電話勧誘販売
・連鎖販売取引
・特定継続的約務提供
・業務提供誘引販売取引
・訪問購入
なお、特定商取引法で保護されるのは個人消費者です。法人に対する商取引は対象外となります。
2017年施行の改正内容
特定商取引法は1976年に「訪問販売等に関する法律」として制定され、以降何度か改正が行われています。現在は、2016年改正・2017年施行の内容が最新です。FAXDMに関わる改正内容についてご説明します。
1)規制の対象となるFAX広告
改正前より、電信メールに関しては未承諾の相手に対して送ることを禁じる「オプトイン規制」が設けられていました。改正後は、このオプトイン規制がFAXにも適応されています。“契約の申込みの内容、契約内容、契約の履行などに関する事項のうち、重要なものの通知に付随してファクシミリ広告を送信する場合”と“相手方からの請求に基づく場合"は適応外と明記されています。また、後述する理由からほとんどのFAXDMは適応外です。
2)受取の承諾を得られた記録を1年間保持する
FAXを受け取る承諾が得られた場合は、その記録を作成し1年間保持する義務があります。記録なしで許可を得られていない個人消費者にFAXDMを送る行為は違法です。
3)配信停止希望欄を設ける
FAXDMの送信側は、受取側による「配信を停止してほしい」という意思表示があれば速やかに配信を停止しなければなりません。受取側がいつでも配信停止依頼ができるように、FAXDMに配信停止希望欄を設ける義務があります。国からの指定によると、停止依頼の窓口として電話番号・住所を書くだけでは不十分とされています。そのため、メール・FAXなどの受付方法を明記する必要があります。
2.FAXDMは法律的に問題ない?
特定商取引法においてFAXDMに関わる内容についてお伝えしてきました。結局のところ、法人が法人に対して送るFAXDMは違法なのでしょうか?
結論から申し上げると、上述した特定商取引法は個人消費者を対象としているため、法人に送るFAXDMは原則として問題ありません。つまり、法人に対しては事前に許可をとることなくFAXDMを送ることができます。
しかし、当然ながらマーケティングである以上モラルが必要です。特にFAXという媒体を用いている以上、受取側の紙・インクを消費していることを自覚しなければなりません。常識的な頻度・規模の配信にとどめなければ、FAXDMが原因で企業イメージを損ねてしまうことも考えられます。
特定商取引法の対象外ではあるものの、配信停止の方法は明記するのがマナーです。企業からの配信停止希望があった場合は迅速に対応する必要があります。
3.個人事業主・自営業者への送信
商材によっては個人事業主や自営業者がターゲットとなるケースがあるかもしれません。個人事業主や自営業者にFAXDMを送っても法的に問題ないのでしょうか?
この点に関して、一般的な解釈は分かれています。法的に個人事業主や自営業者が個人消費者に該当しないのは確かです。FAXDMを送ること自体には問題はないと思われますが、法人に対して送るケース以上にデリケートに考えるべきでしょう。モラルを欠いた配信は避け、配信停止依頼やクレームには適切に対処してください。
4.クレームで違法性について指摘された場合
FAXDMにクレームはつきものです。企業へのFAXDM送信に原則として違法性はありませんが、違法性を指摘するクレームを受けることは十分に考えられます。こうした内容のクレームに関しては、違法ではないことを主張可能です。
ただし、合法・違法を問わず、インクや紙を消費していることや、受取側の希望なく配信していることは事実であり、その点に関してクレームを受けた場合はマナーとして謝罪を述べる必要があります。さらに、相手が配信停止を希望する場合は、迅速に配信停止の対応をしましょう。
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FAXDMの違法性についてご案内しましたが、基本的に企業にFAXDMを送る場合は問題がないと考えていただいて差支えありません。法律に関する理解があることは前提ですが、どちらかといえば法律とは直接関係がない送信のマナー、クレームへの対応法について意識することが大切です。